君が眠れば
足を踏み入れると、案の定がらんとしていた。
片付けられた部屋。
そこにはつい最近まで人がいたという痕跡すら、遺されていなかった。
ただ、こびりついている気がする。
嘆きが、悲しみが、赤い色が。
庭に出ると、ようやく、彼の痕跡を見つけることが出来た。
小さく盛り上がった地面。
ここを寝床と選んだのか。
墓標代わりにたてられた銀色。
それは胸を貫く刃であり、繋ぐ銀の鎖だった。
細身の、見覚えのあるロングソード。
「この結末を、どう思う?」
もちろん、墓は答えを返さない。
答えなんて、求めていなかった。