君が眠れば
「ルー、答えて」
「…大丈夫さ、クロレラ。まだ、大丈夫」
食も細くなった。
酒も飲めなくなった。
限界は近い。
それでも、戦場に立つのを止めてはいけない。
彼女に全てを話せばきっと止められる。
だから、話してはいけない。
彼女に泣いて止めてと言われたら、きっと自分はもう、戦えなくなる。
それは、この地を守れなくなるということ。
「ルー、何を隠しているの?」
「秘密。オレは隊長サンだからネ、機密事項の塊だ」
「そういう事じゃないでしょう!」
「クロレラ」
シン、と染み渡る湖の声色に、クロレラは口を噤んだ。
踏み込めない距離に一抹の寂しさを彼女が感じたと知っていながら、ガラは何も言わなかった。
言えなかった。