あの恋を、もう一度。

「死んだ古市由希子はここの社
長の彼と付き合ってたんだよ、
まぁその男が二股かけてたって
ことだな。」

「え！！」

まさか俺からなつきを奪ってお
いて二股かけるなんて…

中野はさらに続けた

「で、その男が事件後に姿を消
したのさ、何回か上原菜月に聞
いてるんだが、彼女にも連絡は
してない様だな。手配はしてる
けど犯人の疑いがあるから上が
早く挙げろ挙げろってうるさく
て」

最悪だ、もしあの男が本当に犯
人だったらなつきにも危険が及
ぶ…

「ちょっと電話して来ます」

俺は事務所を出た、4年ぶりに
この番号に掛ける、柄にもなく
ちょっと緊張してる

短いコール音のあと彼女が電話
に出た

「もしもし、どしたの？」

頭が急に真っ白になった
言葉が出て来ない…

「もーしもーし！」

彼女の声でやっと我に返った

「あっ！んとだな、夜暇か？こ
の間ごちそうになったからお礼
みたいな感じで晩飯でもどうか
と思って」

混乱してる…
自分でもわかる

「あ～～、気にしなくても良か
ったのに、元々お願いがあった
のはこっちだし、でもおごって
くれるならいいよ～、んじゃ昔
みたいに迎えに来て」

昨日とはまるで別人だなあ…
あんなに緊張しっぱなしだった
のに

「どーすんの？」

「え？あーーじゃ6時半に迎え
に行くよ」

約束を取り付け携帯をズボンの
ポケットにしまい、時計に目を
やった

あと2時間ちょっとかぁ…
どうやってあの男のことを聞く
か考えないと