あの恋を、もう一度。
あえて遠回りをした

「なんか不思議」

「ん?なんで?」

「もう会うこともないのかな

 って思ってた」

「そう・・・だな」

「ちょっと昔を思い出すね」

「ああ、もう4年か・・・

 長いようで結構短いもんだ

 な」

「うん、でも凄いね。

夢だった弁護士に成れたん

だし、私とは全然違う・・」

「だいぶ前に採用したはずの

 アシスタントがいないけど

 ね」

「・・・ごめんなさい」

「責めてるわけじゃないよ、

 俺とお前、そして祐一は

 いつも三人一緒だったし、

 あいつがお前を幸せに出

 来るなら俺はそれでも良

 かった」

「ありがとう・・・」

 話が途切れた

 しばらくの沈黙

流れで失踪した祐一の

ことを聞いてみるか

「なぁ、ちょっと聞くけど」
 
「ん?」

「アイツは?」

「・・・・・」

 沈黙が車中を支配する

 まずったか・・・

 赤信号で車を止めた

「信じて・・」

「え?!」

それだけを言い残し

彼女は車中から飛び出した

「おッおい!」

信号が青に変わる

地下鉄のホームに通じる

階段を下る彼女を

俺は見送ることしか

出来なかった
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