海よりも深い
「言わねーの?」
本気でショックを受けている俺に、拓海が真剣に聞いた
「・・・何を」
「なっちゃんに弟としてじゃなく好きって言わねーの?って聞いてんだよ」

・・・

「言えるわけねーだろ・・・」
言えたら苦労しねーよ。
兄弟で男同士でずっと一緒に育ったんだぞ?言ってどうなる?

そんな俺の心の声を読みとったように拓海は言った
「気色悪がられても拒否られても一生弟やってるよりはマシ、って思わねーか?」
・・・それは、思う、よーな 気色悪がられるよりは一生今のままがマシなよーな、、、
「・・・わかんね」いざそう真剣な話をされると逃げるヘタレな俺を、根っから男前な性格の幼なじみは許さなかった

「今日お前んちのとーちゃんとかーちゃんうちのとメシ行かすから言え。今まで散々俺に言ってたことを本人に言え」
ちょっとちょっと!拓海サン?!なんすか急に?!
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