海よりも深い
俺と先輩は屋上へ上がる階段の途中で足を止めた
ここがいつもの場所だ
「ほんとマメに通うわねー弟くん」
白い肌にダークブラウンのクルクル巻かれたロングの髪
先輩はフツーに誰が見ても可愛い今時な女子高生だ
でも俺の目的はただひとつ
「なっちゃん狙ってる娘の情報入ってます?」
この可愛い女の子を目の前にして、しかも二人きりの至近距離で話題は兄ちゃんのこと、のみ。大まじめですよ、俺は
「んー、とりあえずあたしの耳には入ってないわね。夏海くん狙いはほぼ全員彼女いるってあたしが吹き込んでるから周りにも伝わってるんじゃないの?」
俺はホッと胸を撫で下ろした
「そっすか、ありがとございます」