緋色の奇跡
「だから、よく人が行くとこにほど、四つ葉ってあんの。何か面白くない?」

「何で?」

「良く人が行くとこほどあんのに、皆見つけらんねーの。実は足もとにあったりすんのに。それって、何か現実における幸せに似てるくない?」


そう言って笑う彼に、私はドキッとしてしまって、再び四つ葉を探すふりをして視線を落とした


「あ……」


思わず自分の目を疑った

本当に、実は目の前にあったりするんだね


「あった………」


小さく呟くように言った私に、彼は「ん?」と私の方を見てから、言葉の意味を理解して微笑んだ


「な、あったろ?」


私の手元にある、四つ葉のクローバー

それをじっくり見つめてから、私はスッと手を離した


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