緋色の奇跡
「あれ、取らないの?」


私の行動に彼は首をかしげてこちらを見つめた


「良いの、十分勇気もらえたから。あの子はここで咲いてるのが1番だと思うから」


そう言って再び彼の横に腰を下ろすと、私は彼の横顔を見つめた


「あのさ……」


言うならきっと今しかない

そう思って、私は言葉を紡いでいく


「私さ、言いたい事があって、そのっ……ね」


いざ言おうと思ったのは良いけれど、何から言っていけばいいのか分からなくなる


『好き』


ただ2文字

その言葉の発生の仕方を忘れてしまったかのように、私の口からその2文字がなかなか出てこない


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