緋色の奇跡
「それ、瑞杞から言っちゃうの?」


私の瞳を見つめる目は、逸らせないくらい月に照らされて光る綺麗な瞳

彼の言葉の意味が分からず、反応の出来ない私に、彼は微笑むと、口を開いた


「好きだよ、瑞杞」


言葉の意味を、一生懸命に脳が理解しようとする

今、彼が何と言ったのか、一瞬分からなくなる

優しいけれど、愁いを帯びたような微笑みで、彼は私にそう言った


「うそ……」


思った言葉が私の口からそのまま紡がれる


「嘘って……。ここで嘘言ってどうすんの?」


苦笑しながら、口元に手を持っていく彼を、私はボーっと見ていた


だって、好き?
スキって??
私を?
凌が??


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