緋色の奇跡
その名前に、私が首をかしげると、彼はスッと私の後ろを指さした

その方向を振り返ったところにあったのは、1つのお仏壇


「たいていは女の人の方が、後に残るんじゃけどな~。わしらの場合は違ったようじゃ」


そうか、サクラさんとはこの人の奥さんなのだ


「なんだか、場違いな感想かもしれませんが、良いですね」

「は?」


私の言葉に、隣に座っていた凌が、あからさまに「ない言ってんの!?」と言った表情を浮かべている


「あ、えーと。おじいさんおばあさんの歳になっても、名前で呼ばれるって良いなぁ~って」


まずい感想だったかな?と思いながら苦笑する私に、向かいに座るおじいさんは上品な笑いを浮かべた


「サクラさんが望んだんじゃよ」


『結婚しても、子供が生まれても、おじいさんおばあさんになっても……私の事を名前で呼んでくれると約束して下さいますか?』


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