緋色の奇跡
「それじゃあ、ありがとうございました~!!」


家の入口、私たちを見送るおじいさんに手を振って、私たちは彼の家を出た


「良い人だったね~」

「素敵な人だったなぁ」


そんな事を言いながら、私たちはあと少し

最初のころを考えると、目と鼻の先まで近づいた、私の家の病院を目指す

笑いながら、私が足を前に出したのと、眩暈の様なものを感じたのは、同時だった

それが眩暈でないと分かったのは、すぐ

1度経験したことのあるこの感覚に、私はその場にしゃがみこんでしまう

そんな私を守るように抱きしめる凌の背中に手をまわして、私は怖さに身をこわばせた

少しして落ち着いた揺れに、顔をあげると「大丈夫か?」と凌が私を心配して言った


「だいじょう……ぶじゃない!!」


凌の胸から離れて、私は彼越しに見た一ヶ所に走り出す


< 110 / 141 >

この作品をシェア

pagetop