緋色の奇跡
「おじいさん!!」


先ほどまで私たちもその中にいた

そうして笑顔で私たちを見送ってくれた彼が、この中にいるはずなのだ


「瑞杞!あぶねーから下がっててくれ!!」


私を、先ほどまで家があった場所から引き離して、彼は瓦礫を持ち上げていく


「誰かっ……。誰か来て下さい!!!!」


私の声を聞きつけて、何人かの大人がこちらに来てくれる


「おい、お前らそっち持って!」

「お嬢ちゃんは危ないから、下がってて」


凌と同じような事を言われて、私は下がることしか出来なく、彼の作業を見守ることしか出来ない


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