緋色の奇跡
「そっちの患者さんはこっちに移動させて~」


久しぶりに来た自分の親の病院は、最後に見た日よりは忙しい感じだけれど、どうしようもない状態という訳ではなかった

看護師たちを見渡して、私は見知った人を探す


「瑞杞ちゃん?」


突然後ろからかけられた声に、私は勢いよく振り返った


「やっぱり瑞杞ちゃんね。って、どうしたのその方!!」


私の後ろ、明らかにケガ人であるおじいさんを見つけて、私を呼んだ声の主の彼女は私の方に駆け付けた


「お願いです。助けてあげてください」


私の言葉に彼女は頷くと、仲間を連れておじいさんを処置室へと連れて行った

その後ろ姿を見つめながら、私には後はもう祈るしか出来ない


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