緋色の奇跡
「ただいま、お母さん」


「おかえり」そう言って、彼女はもう1度私を抱きしめてくれた

すべてが終わったと思った

おじいさんも、きっとお父さんがどうにかしてくれる

それはもう信じるしかない事だけれど、お父さんならやってくれると信じてる

あとは、泉くんの両親を見つけたり、凌の両親の所に行ったりして……

もう、あとは安心して眠られる

そう思った

まだまだ子供だったのかもしれない

それでも、その時が来るまで、私はそう信じていた

信じて頭の中は疑わなかったから、考えもしなかった

ドサっという鈍い音

振り返るそこに倒れた彼

さっきまでずっと一緒にいた、大切な人

一瞬の間があった

頭がついてこれなくて、訳が分からない

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