緋色の奇跡
ならどこに?

彼はあの時から、ずっと私の傍にいてくれた

なのに、どうして今ここにいないの?

どこにいるの?

凌………


「凌なら……。第2会議室にいるよ」


絞り出すように、言った泉くんの言葉に、私は首をかしげた


「会議室?」

「泉くんっ!!」


訳の分かっていない私の隣、沙良が泉くんの言葉に避難の声を上げた


「泉くん……。凌は…凌はそこにいるの?」

「うん」

「どうして?」


そのまま、続きを言わない泉くんに、私は痺れを切らせて、ベッドから素早く立ち上がると、沙良の声も耳に届かず、病室を後にした


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