緋色の奇跡
「りょ、凌……。どうして……?」


彼の隣にペタリと座り込んで、私は呟くようにしか言葉が出てこない

これは後から聞いた話

凌たちがここにいたのは、それだけ霊安室がいっぱいだったから

そうして、凌の死因は脳出血

お父さんの話によると、出血していのは地震直後の頃からだろうという事だ

そこから少しづつ血腫が出来ていったようらしい

本人も、分かっていたんじゃないかと、言っていた

どんどん頻繁に起こる頭痛に、気がつかないわけがない

その話を聞いて、私は自分が情けなくなった

どうして気がつかなかったんだろうって

あの日から、あの時から、ずっと傍にいたのに、どうして気がつかなかったんだろう……

もっと早く気がついていれば、どうにか出来たかもしれない

それが悔やまれて悔やまれて、しょうがない


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