緋色の奇跡
「すいません……でした。私が一緒にいたのに……」


謝ってもしょうがない事は分かっているのだけれど、謝ってしまう

涙を拭わないといけないと思いながらも、手に力が入らない

手だけじゃない、体全体が重くてしょうがない


「あなたが謝る必要なんてないわ。あの子の事だから、何も言わなかったでしょうし、顔にも出さなかったでしょうから」


そう言って、再び弱々しく笑うと、彼女私と視線を合わすようにかがんだ


「あなたに渡さなければならないモノがあるの」


そう言って彼女は私に見覚えのあるモノを手渡した


「これ……凌のケータイ電話?」


呟くように言った私に、彼女はコクリと頷く


「これは、あなたが持ってるべきものだと思うの」

そう言うと、彼女はスッと立ち上がった

「私たちは少し外に出てますね」と言って、彼女たちは私を1人にしてくれた


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