緋色の奇跡
凌の隣

私はしゃがみこんだまま、ずっと彼を見つめていた

声がもう出ない

苦しいよ

息の仕方が分からないみたいに、息苦しい

まるで魂が抜けた人形かの様に、私はずっとそこに座っていた

何時間が経ったのかさえ、分からない

時間だけが過ぎていく


「み……瑞杞…………」


そう呼ばれた気がした

でもそれさえも、もうどうだって良いと思えてしまう

気がつけば、私はまたベッドの上にいた

いつの間にか、気を失っていたようだ

頬には涙がまだ伝っている

寝ながら泣いていたのだろうか?


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