緋色の奇跡
もう何もしたくない

何も考えられない……

凌に……凌に逢いたいの………


「しっかりしろよ、柊!!」


下を向いていた顔を突然上に向けられて目に入ったのは、泉くんの姿

ボゥッと彼を見つめ返していると、彼は切なそうな顔で言葉を紡いでいった


「柊さんがそんなんじゃ、凌がどんな顔すると思うよ?」


ポロポロと流れ落ちる涙が、止まらない

「ほら」と私の前に鏡をおいて、自分の顔を見せられる


「痩せすぎ。ちゃんと食え」

「ね、食べてとりあえず……」


鏡に映った自分の姿を見て、確かに痩せたと自分でも思った

痩せたというより、やつれた


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