緋色の奇跡
「だ、大丈夫!?」


私を包む腕をほどいて、私は凌の姿をちゃんと自分の目で確認する

確認して、ちゃんと動いている彼を見て、安堵の溜息をついた

何が起こったのか

それは少し考えて脳裏をよぎった言葉が教えてくれた


地震


彼の奥に見える世界は、数分前まで私たちが歩いていた世界

そこはもう、先ほどまでの面影が全く見られなくなっていた


「りょ、凌ケガとかしてない?」


我に返って、私は凌の腕を、体に触れていく


「瑞杞、焦り過ぎ!少し当たっただけ。大丈夫だから、あんま触らないでくれる?」


「くすぐったい」と言いながら笑う彼を見て、安心した私はすぐに沙良たちの事を思い出した


「瑞杞は大丈夫か……って」


凌の言葉そっちのけで、キョロキョロと周りを見渡すと、少し離れたところに、沙良と泉くんの姿を見つける


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