緋色の奇跡
あーあ、ホントだ

こんな顔じゃ、また凌に心配かけるね……

あの人に悲しい顔なんてしてもらいたくない

そう思って、出された食事に手をつける

一口食べてみると、胃が気持ち悪く感じる

久々に食べ物が胃を通ったんだ、しょうがないかもしれない

それでも、少しずつでも、私は前に進まなくてはいけない


イヤでも……


2人が帰ってから、私はようやくゆっくりと彼のケータイを開いた

どうして彼女たちが私にこのケータイ電話を渡したのだろうか


私が持っているべき


と言うからには、きっとその理由がこのケータイの中のどこかにあったのだろう

まず画像のフォルダを確認してみる

人のケータイを見るという行為に、すでに引け目を感じつつも、1つ1つ確認していく

めぼしいものは見つからず、逆に彼の笑顔の画像を見てると、再び鼻の奥がツンとする

1つ、たぶんここにあるのだろうと思うものがあるが、やはりそれは気が引ける


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