緋色の奇跡
でも、もう泣かないよ

泣いたら、アナタが怒るもんね

アナタと別れた日は、雨になっては欲しくないから、私は最高の笑顔をアナタに向けるの

見上げた空、白い花が散ってきた

冷たい、白い花……


「柊先生!!」


大きな声で呼ばれて振り返ると、そこには菜月ちゃんが怖い顔して立っている


「菜月ちゃーん、院内でそんな大声あげちゃダメよーん」


人差し指を上げてそう言うと、彼女は呆れたように私にあるモノを差し出した


「先生が止まってくれないからでしょ!!!」


彼女の手元、そこにあったのは、凌の携帯電話だ


「先生の落し物!!」

「あ、ごめんごめーん」


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