緋色の奇跡
1階に出てきて思った事は、地下にいた時と大した差はなかった

華やかなホールは、今はもう瓦礫だらけ

あるのは悲鳴やうめき声

目を逸らしたくなる現実を横目に、沙良を休ませるためにも、とりあえず開けた場所に出るために外へと向かう

なんとか出る事が出来た外は、もう中なのか外なのか分からないくらい、先ほどと変わらない景色だった

思わず茫然とその光景を見つめてしまう

ここは本当に私のよく来ていた場所なのだろうか?

いつもの色とりどりの看板は崩れ落ちていて、広がる色は瓦礫の色と緋色

どこかで火が上がっているのかもしれない

そして、もう1つの緋色――――


「菜々子!奈々子っ!!誰か助けて下さい!!!」


どこからか女性の叫ぶ声がして、私たちはその声の方向へと足を向けた

沙良に肩を貸している泉くんと凌をおいて、私は一足先にその声のもとへと向かう

そこで私の瞳に映る、緋色の世界


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