緋色の奇跡
『達杞ちゃん!達杞ちゃん!!』

『み……ずき?』


私の目の前に倒れているのは、誰?

考えなくても、答えは1つしかない

たった1人の姉

達杞ちゃん

ずっと、2人で生きてきたに等しかった

忙しい両親の代わりに、私にいつもかまってくれた達杞ちゃん

6つも離れた、お姉ちゃんは私のお母さん代わりだった

そんな達杞ちゃんが、私の目の前で倒れている


『達杞ちゃん!!!』


叫んで触れた、彼女の体

ヌルっと嫌な手触りがして、私は自分の手を見つめる

真っ赤な色

鮮血の色

緋色の世界


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