緋色の奇跡
「無理はするな」


そう言うと彼は、私を怪我している女性のもとまで連れて行ってくれた

彼女の前に座り込むと、私は1度瞼を閉じた

そうして思い出すのは、無数の本の中の1冊

医療入門本

止血の仕方を思い出しながら、私は決心を決めると目を勢いよく開いた



私は彼女を助ける



目の前にいる女性を観察すると、出血部分は右足の太ももあたりだった

その個所を観察してから、隣で泣き崩れている女性と、沙良たちに声をかけた


「誰か…誰かハンカチとか布系のもの持ってないかな?」


先ほど沙良の捻挫の応急処置でハンカチを使ってしまった私は、止血するための道具が全く手元にない


「これ、これなんてどう?」


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