緋色の奇跡

「女性は男性より出血に強いですけれど、人は一般に循環血液量の30%を急激に喪失すると死亡するといわれています。一応応急処置はしましたが、ここでは消毒も何も出来ないので、出来るだけ早く病院に運んで、適切な処置を受けさせてあげてくださいね」


そう言って私が微笑むと、お友達さんは「はい」と言って涙を流した

その背後で数名の男性が「嬢ちゃん、俺らが運ぶの手伝ってやるよ」と申し出ている


「ちょっと、そこの嬢ちゃん！こっちのやつも診てやってくんねぇか？」


顔をあげると、そこらじゅうに先ほどまで見当たらなかった人々がずらりと出てきていた

その言葉に立ちあがる私の手を、沙良は素早く掴んだ


「瑞杞……」


心配そうな表情をして私を見ている彼女に、私は優しく微笑んだ


「もう大丈夫だよ」


そう言って私は彼らのもとへと足を進めた

その瞬間、すっと隣に並ぶ人の気配を感じでそちらを振り返る