緋色の奇跡
「1人だと無理すっだろ?」


そう言ってニッと笑ったのは凌だった

その事が嬉しくて、瞳に涙が浮かんでくる

それを隠すように「足手まといにならないでよ!」と悪態をつくと、私たちは足早に呼ばれた方に向かい、作業を開始した



「けいれんを起こしている方は、吐く事があるので顔を横向きにして寝かせてあげてください」



「出血している方は、出来るだけ清潔な布で幹部を圧迫してあげて止血してください」



とりあえず誰でも出来そうな事はしてもらうために、私は出来るだけ声をはってそれだけ述べる


「嬢ちゃんこの人!!」


おじさんに呼ばれてそちらに向かうと、出血して呻く男性の姿があった

一瞬ひるむ私を、後ろで凌が支えてくれた


「本当に大丈夫か?」


そっと後ろから囁く凌に「大丈夫」と目を見つめて言い返すと、私はその男性に向き合って腰を下ろす


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