緋色の奇跡
Ⅱ:様々な想い
「これで……終わり!!」


私の診れる程度の患者さんの応急処置を終えて、私は「うーん」と背伸びした

周りに広がっていた光景は、相変わらず実感の湧かない現実

続く余震も、気がつけばいつの間にかおさまってきていた

もう出来る事をやりつくした

一般人に出来る救助活動も終了し、辺りは暗くなりかけた緋色の夕日空

先ほどの騒がしさが嘘のように静けさに変わっていた

一体あれから何時間経ったかさえ分からない

ケータイを開くともうすぐ17時になる


「おつかれ」


ケータイのサブ画面を見つめていると、そう言って凌が私に微笑みかけてきた

その声と共に、後ろから沙良たちにも声をかけられた


「お疲れ様!瑞杞本当に大丈夫??」


心配そうに私を覗き込む顔は、女の私が見てもドキッとしてしまうほど可愛い

そんな大切な友達を安心させるために「大丈夫だよ」と私は優しく微笑みかけた


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