緋色の奇跡
「これからどうしようか……」


そう後ろから聞こえた声は、泉くんの声だった

寒くなり始めた季節の昼と夜の境目は短い

暗くなり始めたら、一気に夜が来てしまう

だからと言って、家までの交通機関は動いているはずがない


「ねぇ……」


そう考えていると、突然隣の沙良が言いにくそうに言葉を発した


「あの……お父さんの所行って良いかな?会社がこの近くにあるの……」


そう私たちに決まりが悪そうに尋ねてきた


「そんなの……良いに決まってるじゃん!!!」


バシッと私が彼女の背中を叩くと、後ろの2人も「当たり前」と言ってニッと笑っている


「痛いよ、瑞杞……でもありがとう」


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