緋色の奇跡
ここには公衆電話があるが、帰り道に充電が切れた時に電話が近くにあるかどうか分からない

確かに、保存出来る限り携帯の充電は残しておきたいところだ


「一体何人の人が帰宅難民になってるんでしょうね……」

「帰宅難民??」


私の言葉に聞きなれない単語が含まれていたらしく、沙良が首をかしげた

そんな沙良に、彼女の父親が呆れたように言葉を発した


「沙良……ニュースぐらい見ろ……帰宅難民ってのは、大地震などの災害で交通機関が止まってしまって、都市部から自宅へ帰れなくなる人を言うんだよ」

「わ、分かるよそれくらい!!」


プクッと頬を膨らまして言う沙良に、私たちは皆笑い合った

その間も、時々聞こえる声

その声から一般の人々が自分から救助活動をしている声だと理解する

その声に私が声のする方を振り返っていると、私に気がついた沙良のお父さんの同僚である水谷さんが、私に声をかけた


「柊さんどうしたの?あ……、気になるよねやっぱり」


「でも君たちは心配しなくていいんだからね」と彼は優しく私たちに言う


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