緋色の奇跡
「一応、俺たちは時間交代で手伝っているけれど、君たちはもう少ししたら体育館に行って、体を休めた方が良い」


沙良のお父さんが私たちにそう言うのを聞いて、私は自分の無力さを実感させられた気がした


「あの……」


そう言って言葉を発したのは凌だった


「俺も少しくらいは手伝えると思うんすけど……」


その言葉に、大人2人は驚いた表情で彼を見つめていた


「君はまだ高校生だし、危ないから……」
「わ、私も」


沙良のお父さんが発した言葉を遮って、私がスッと手を上げた


「あの、私も手伝いたい……です」


さっきの驚いた目が、次は私に注がれている

その微妙な沈黙に耐える事が出来なくなり、私は言葉を付け足す


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