緋色の奇跡
「あの、力仕事は確かに私じゃ出来ないかもしれませんけど、応急処置なら出来ますから」

「瑞杞っ!!」


私の言葉に怒ったのは、沙良だった

その沙良の姿を見て、私は色々とみんなに話し忘れている事があった事を思い出した

このごたごたで、私があやふやにしてしまった事実

あの瞬間倒れた事を、誰も私に尋ねてくる事はなかった


「あ……おじさんすいません………3人少しお借りして良いですか?」


「どうしても言っておかなくちゃいけない事があったのを忘れていたもので……」そう言いにくそうに私が沙良のお父さんに言うと、彼は何か察してくれたのか静かにうなずいた


「それじゃあ、俺たちは一応もうそろそろ交代の時間だし、ここで話しておきな」


水谷さんがそう言って、沙良のお父さんに声をかけると、彼らは明りから遠ざかって暗闇へと姿を消していった

途端に、4人の間に沈黙が流れて少し気まずい

でも、そんな事を言ってられないので私は言葉を発した


< 42 / 141 >

この作品をシェア

pagetop