緋色の奇跡
「達杞ちゃん!!」


彼女の周りに集まって来ている人々を押しのけて、私は叫びながら達杞ちゃんのもとへ向かった


「達杞ちゃん!!!」


駆け寄って、彼女の体に触れる私

頭を強く打っているかもしれない人を動かしてはいけないなんて事は、私の頭から吹っ飛んでいた

達杞ちゃんの体に触れた途端に感じる違和感

ヌルっとした生暖かい感触

ゆっくりと自分の手を見つめると、そこには赤い鮮血で染まった私の掌があった


「いやー!!いやっ!!!達杞ちゃん!!!達杞ちゃん」


そう言って私は何度も彼女を揺する

お願い、目覚めて―――

目を開けてよ、達杞ちゃん……


「み…ずき……無事、だった……のね。よか……った……」


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