緋色の奇跡
私のその想いが届いたのか、達杞ちゃんは目を開けて小さくかすれた声で私に言葉を発した


「達杞……ちゃん??」


達杞ちゃんは何も言わずに私の頬に触れると、弱々しく笑ってそのまま私の頬から手がずり落ちた

頬に残る冷たい水気

それが私の目から流れたモノと混ざって、地面に滴り落ちた

その後覚えているのは

赤い色

達杞ちゃんの倒れた地面の血の色と

達杞ちゃんの着たワンピース

緋色に染まったそのワンピースは、まだ乾いていない彼女の血で綺麗に染まっていた

ただそれだけ

それ以外の事は何も思い出す事も出来なくなってしまったんだ……


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