緋色の奇跡
PM 13:30

突然人を呼びだした挙句、待たせるというのはどうなのだろうか?

いい加減私も1度くらい怒った方が良いのだろうか?

溜息をついて窓の外を見る

20分前、再び私のケータイは鳴った

と言っても今度はバイブモードでだ

ケータイを開いて出ると、そこから聞こえたのは沙良の声だった


『ごめん!遅れる!!』


あまりにも必死さが伝わってきたので「もうすでに遅刻してるから……」なんてツッコミを入れる気さえ失せてしまった


「駅のマクドにいるから」


そう言って電話を切ると、時間はちょうど1時を回ったところだった

ボーっと外を眺めながら紅茶の入ったコップのストローを加える

外には多くの人々

カップル、グループ、家族連れ………

行きかう人々を見つめながら、いつも探してしまう人がいる


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