緋色の奇跡
救助されたのは、1人のか弱そうな女性だった

ざっと見たところ、血が出ている箇所はあるものの、それもそんなに深くはなく、ほとんど止まっているようだった

とりあえず、持ってきた水で彼女の傷口を洗いながしていく


「っ……!!」


痛がる声と表情に「すいません」と謝ると、彼女は私に微笑みながら「謝る事なんてないわよ」と言った

そうして傷を洗って、軽くそこに布を巻いて包帯がわりにしていると、私は彼女の足にあるアザに目が行った

彼女も私のその視線に気がついたのか「あぁ、これ……」と何でもなさそうに笑った


「ちょっとさっき打ったんじゃないかしら?」


そう言いながら、彼女が私を安心させるように「大丈夫よこれくらい」と言う


「これ、震災前にはなかったアザなんですね?」


私が真剣に尋ねる顔に、彼女は少し強張ってから「そうね」と答えた

彼女を驚かせてしまった事に「あ、すいません」と再び謝ると、私は近くにいた人に、彼女を助け出した時の様子を尋ねた


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