緋色の奇跡
「恋人だってさ……」


横から呟くように彼はそう言うと、私の方に向って苦笑した

「ごめんな~、勘違いされた」と言って、彼は私の頭をクシャクシャと撫でた

その拍子に、私の長い髪はぐちゃぐちゃになってしまう


「やめてよぉ!!髪ぐしゃぐしゃになったじゃん!!」

「元から、ぐしゃぐしゃだっての~。ってか、俺らみんな服も何もかもドロドロだっての!!」


その言葉に笑いながら、私は同意した

そう、今ここに綺麗に着飾れている人なんて1人もいない

皆同じように、服が汚れていたり、傷を負っていたり


「早く行こうか」


そう言って私と凌は、彼らの後を追って走り出した


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