緋色の奇跡
「これからどしよっか?」


抱きしめたその腕を静かに緩めて私から離れると、凌はそう問いかけた

その問いに「もう少しここにいたい」と静かに答えた私は、今更ながら先ほどまで抱きしめられていた事に恥ずかしさを覚えていた


「そっか」


彼はそう呟くと「それじゃあ、泉たちに知らせてくるよ」と言って私の頭を撫でた


「あっちに置いてきちゃったからな~2人。知らせてやんねーと、南野なんて探し回ってそうじゃん?」


そう言って彼は私に微笑みかけると「すぐ帰ってくっから~」と言って手をひらひらさせながら、病院を出ていった


「何よ……やっぱり、ドキドキしてるのは私だけなわけ?」


元気よく走って行く彼の後姿を眺めながら、私は頬を膨らまして小さく呟いた


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