緋色の奇跡
「そんじゃ……気をつけて……ね…っく」

「おーい、何だその今生の別れみたいな挨拶は……」


私の目の前で泣くのは、沙良だ

まるでもう会えないかのように泣いている沙良に近づくと、頭をよしよしとさすってやる


「あのね~そのうち沙良も帰ってくるんだから、それまでのお別れでしょ?」

「でも……本当に気をつけてねっ……何があるか分からないんだよ!!」


「あ~はいはい」と言いながら、私は彼女の頭をさすり続ける


「南野大丈夫だって!俺がいるしっ」


ニッと笑いながら私の隣りに立つ凌に、泉くんがボソッと呟いた


「いや、むしろそれが1番危ないんじゃね?」

「だよね……」


沙良と泉くんがジーっと凌の方を見つめるのを見て、凌は「何でだよ!!」とつっこんでいる

その姿が面白くて私がクスクス笑ってると、彼はそれに気がついて「おい、瑞杞まで笑うなっつの!!」と憤慨している


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