緋色の奇跡
「元気だな~若くて……」


突然聞こえた声にそちらを振り返ると、そこにあったのは沙良のお父さんと水谷さんの姿だった


「まぁ、餞別?」


そう言うと水谷さんは、凌に水の入ったペットボトルをヒョイッと投げた


「こんくらいしか渡せなくてわりぃな」


私に水を手渡しながら、沙良のお父さんが申し訳なさそうに言うので、私は慌てて首を横に振った


「そんなっ!!大丈夫です!!!途中の配給所でどうにかしますよ」


ぶんぶんと頭が落ちそうなほどに振っていると、彼らは和やかな笑顔をこちらに向けた


「んじゃ、行くか?」

「ん。そうだね」


凌の言葉に私が同意すると、私たちは4人に見送られて帰路についた


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