緋色の奇跡
帰る途中、困るのは食料とトイレ

食料は避難所を見つけるたびにお願いして分けてもらうが、それも避難所によって、言葉をかける人によって、反応はそれぞれだ

快く申し出を受け入れてくれるところもあれば、あからさまに嫌がられるところもある

それでも、何とか食料は確保できつつ、私と凌は少しずつ自宅へと近づいていた

そうして、トイレ

こればっかりは、避難所か……または公園などのトイレ

もちろん綺麗なわけがない

これがもしかしたら、1番つらいかもしれない


「凌、この自販見て!!」


突然私が驚いたような声を上げて指さすのは、見かけはどこでもあるような自動販売機

それを見た凌が、私の指す方を見て、口を開いた


「フリーベンド?」

「フリーベンド?????」


クエスチョンマークが私の頭上を飛び交う中、彼は私にその言葉の意味を説明し始めた


< 75 / 141 >

この作品をシェア

pagetop