緋色の奇跡
「災害時に自販の中の飲料を無料で提供できる機能の事を、フリーベンドっつーんだ」

「ヘ~」


「瑞杞は、医療以外は何もしんねーな」と言いながら、凌は私の反応を見て笑っている


「何ですと!?そういう自販があることぐらいは知ってたわよ!!名前を知らなかっただけ~」


プクッと頬を膨らませてそう言う私に、彼は苦笑して「わりぃ、わりぃ」と謝った

自販機に近づくと、案の定と言ったところだが、ほとんど売り切れ表示

とりあえず奇跡的に残っていた1本のスポーツドリンクを選択して取り出すと、凌は私にそれを渡した


「ほい」


突然手渡されたそれを慌てて受け取る


「待って、凌が飲みなよ」


慌てて私がそのペットボトルを彼の方に返すと、彼は眉をひそめた


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