緋色の奇跡
「避難所発見!」


1日も終わりに近づくと、気になるのは寝床

見つからない時は野宿覚悟だと思って、家に向かって歩き始めたが、さすがに私も女の子

出来る限りは雨風しのげる場所で眠りたいのが本音だ

だから、日が暮れる前に避難所を見つけたら、その日のうちに歩く分はここまで、ということにしている

しているというか、凌がそうするようにしむける

会わない間にいつの間にか紳士な感じになっている感じ

昔はこんな風に気なんて遣われなかったから、何だか調子が狂ってしまう


「瑞杞~大丈夫か?」


考え込んで彼の言葉に反応していなかった私に、彼は顔の前で手のひらを振って覗きこんだ


「え!?あ、大丈夫です」

「ぷっ、何で敬語?」

「な、何でもない!」


そう言って笑う凌の腕を引っ張ると、私は顔が赤くなるのを隠しながら、配給に並んでいる人々の列に向かって彼を引っぱって行った


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