緋色の奇跡
ポロポロと頬を伝って涙が伝わっていく

あぁ、お父さんとお母さんは無事だったんだ

その安堵と、お母さんの言葉

私はバカだ

どうしてずっとちゃんと言葉にしなかったんだろう

言葉にしないと伝わらない事なんてたくさんある

そんなこと分かっていたはずなのに、分かっていたはずなのに忘れてた

バカだよ、ほんと

泣きながら聴く、6件目、7件目のメッセージ

そうして最後の10件目


「瑞杞」


突然聴こえた先ほどまでと違う男性の声に、私は目を見開いた


「瑞杞、いい加減連絡してきなさい。母さんが今にも折れそうだ。仕事中は何もない顔をしているけれど、休憩時間にはいつも電話しに行っては、目を腫らして帰ってくるんだ。いるんだろ、ちゃんとどこかに。頼むから……」


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