緋色の奇跡
Ⅳ:満月とClover
瓦礫ばかりの道を歩きだして、たくさんの光景を見てきた

それは良いものばかりではない

どちらかというと悲しいものの方が多い

それでも私たちは立ち止まってなんていられない

そう、立ち止まってちゃいけない


それは私の恋も……


1人になりたくて、夜風にあたろうとやってきた避難所近くの草原

今宵は満月の夜

クローバーの絨毯の上で、私は寝ころんで夜空を眺めていた

一体、地震から何日過ぎただろう

一体、幾夜を彼と過ごしただろう

遠くにいる間にも育っていた想いは、近くにいるほど確かなものになっていった

昔見た有名な映画に「危険な状況での恋は長続きしない」というセリフがあった

もしかしたら、今想いが叶えば、長続きしないのだろうか

考えが変な方向へ行って、私は自身に苦笑する

ゴロンと転がって横を向くかたちに寝転がると、目の前にはシロツメクサが月に照らされて輝いていた


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