緋色の奇跡
4つ葉のクローバーは幸せを呼ぶ

誰もが知っている話だ

その昔、よく公園で4つばのクローバーを探したものだ


「ここにいたんだ………」


月明るい草原の下、声のする方を見上げると、凌の姿があった

彼は微笑みながらゆっくりと私の隣に座る

それを見て私がヒョイッと体を起こすと、彼はすっと前髪をかきあげた


「かなり探したんですけどぉ~」


少し怒ったような表情を浮かべて彼はそういうと、私の頭をいつものようにわしゃわしゃと撫でた


「ご、ごめん」


そう謝った後に生じた、微妙な沈黙

その沈黙が、何だか耐えられなくて、私は話を逸らした


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