緋色の奇跡
「ねぇ、四つ葉のクローバーって昔探したりしなかった??」


腰を上げ、しゃがむ形に座りなおして、私は目の前に広がるクローバーに手をかざした

それから少しクローバーの表面を触ってみるけれど、やはりそう簡単には四つ葉のクローバーなんて見つける事は出来ない


「そいじゅあ、先に四つ葉見つけた方が勝ちな!!」


クローバーを掻き分けて四つ葉を探す私に、彼はそう言って立ち上がると、私から少し離れた位置に腰をおろした

「どーせ他にやることないし、良いじゃん?」と歳相応の笑顔を彼は浮かべると、再びクローバーに視線を落とした

適当に話をしながら、私たちは四つ葉のクローバーを探す

月明かりに照らされて映えるシロツメクサの花


『見つかるわけがない』


そんな気持ちが心の隅にあった

でも見つかったら……

見つかったら、私の想いも上手く伝わってくれるような気がした

だから、必死で、私は探し続けたんだ


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