妄想バレンタイン《短編》
俺は荒川雄大。


17歳の高校二年生。


男女共学だから、一応、女友達も少しはいる。


だけど、だからこそ、バレンタインデーを意識してる俺を誰にも悟られてはならないのだ。


ダサイ男のレッテルを貼られてしまう。


クラスの女子に「荒川ちょーウザイ」とか「キモい」とか思われたら最悪だ。



ちなみに去年もらったチョコレートの数は三つ。


三つもらえればいいほうかもしれないけど、内容が問題だ。


母親、妹、そしてバイト先のおばさん。


義理というより、憐れみだ。



今年こそは…!


と思ったところで母親が俺を呼んだ。


「雄大!遅刻するわよ!」


僕はノソノソと起き出した。


平常心、平常心。
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