妄想バレンタイン《短編》
「…なんだ?」


実は結構落ち込んでいる俺の横で、菊地がボソッと呟いた。



「どうかした?」


「これ…」



菊地の視線の先は下駄箱の中。


そこを覗いて、俺は声にならない悲鳴を上げた。


目玉が…飛び出るかと思った。



菊地の下駄箱の中には、明らかに本命とわかるチョコレートがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。



「いじめ…?」


「…………」



こいつ、天然なのかアホなのかわからないよ。

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