執事と羊
「じゃ、教室に戻ろうか?
ちゃんとバレないように
隠していかないと駄目だからね!?」
「う、うん.....」
ランチタイムの終わりを告げる
チャイムが鳴り、
授業が始まった。
ボードに先生が文字を書くけれど
放課後のことを想像したら
全く集中できなくて
ずっと、空を眺めていた。
あたしも雲みたいに
限りない空を浮かびたいなぁ〜
なんて、思いながら
雲を羨ましそうに見ていた。
宝井さん、今頃何してるのだろう.....
同じ学園という箱庭にいるのに
傍にいないというだけで
少し寂しく感じてしまって、
いつものあたしじゃない。
これもどれも、
宝井さんのせいだ.....
あたしの心に入って
気持ちを引っ掻きまわして、
でもいざという時には優しい。
ズルい人だ。